脂肪注入豊胸を考えていますが、あらかじめ知っておくべきデメリットやリスクがあれば教えてください。
大幅なバストアップが期待できないこと、どの程度大きくなるか予測するのが難しいことなどがデメリットですが、やり方しだいで回避することもできます。
目次
脂肪注入豊胸のデメリット
脂肪豊胸の最大の持ち味である「自然な仕上がり」は、自分自身の生きた細胞を用いることで得られます。しかし、それゆえに避けられないデメリットもあります。
ダイナミックな変化は期待できない
注入する脂肪が多ければ多いほど、バストを大きくできるというものではありません。脂肪豊胸でバストアップするには、注入した脂肪がバスト内で定着する必要があるのですが、そのためには脂肪の入れすぎは逆効果です。細胞に酸素が行き渡らず窒息状態になり、生き残ることができなくなるからです(つまり定着しないということです)。
その人その人の許容量の範囲で注入することになるので、どなたも等しく大幅なサイズアップが期待できるというものではありません。
どの程度大きくなるか読めない
注入した脂肪が実際にどの程度生き残るか(定着するか)は、注入後、3カ月程度経過した時点ではじめてはっきりします。脂肪が定着した3カ月以降は、急激に痩せたりしなければそれ以上小さくなることはありませんが、こうしたことを事前に予測するのは困難です。
脂肪が定着するかどうかは、注入した脂肪の質や、バスト内の環境が脂肪の生き残りに有利な状態かどうか、適切な方法で注入されたかどうかに左右されます。これらの条件を多く満たしているほど、定着する確率は高くなります。
痩せている人は受けられないことがある
脂肪注入豊胸では患者様ご自身の脂肪が必要になるので、痩せていて十分な量の脂肪を採取できない方には行うことができません。
では、どの程度のやせ具合までなら対応できるかですが、これは術者のスキルによって大きく異なるので一概には言えません。
「痩せ型」の一般的な基準はBMI 18.5未満と言われていますが、当院ではBMI 17の方の脂肪豊胸を行なった実績があります。脂肪豊胸の専門性の高いクリニックほど、受けられる守備範囲は広くなると考えます。
脂肪注入豊胸で考えられる失敗
脂肪注入豊胸の失敗は、バストに影響を及ぼすものと、脂肪吸引をした部位に影響するものとがあります。
大きくならない(定着しない)
脂肪が定着しないのは、定着させるために必要な条件を満たしていない施術を行った時です。すなはち、注入した脂肪の質が良くない、バスト内の環境が脂肪の生き残りに適さない、適切な方法で注入されていない、という場合です。
定着に不利な(適さない)条件 | |
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脂肪の質 |
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バスト内の環境 |
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脂肪の注入方法 |
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しこりができた
しこりも、結局は脂肪が定着しないことに起因しますので、定着に適さない条件下で多く見られます。
定着しなかった脂肪は自然に体外に排出されますが、塊で注入された脂肪は周囲に皮膜を形成してバスト内にとどまることがあります。この皮膜が石灰化してしこりになります。
脂肪吸引した箇所が凸凹に
脂肪注入豊胸は脂肪吸引をともないます。その脂肪吸引の失敗も、脂肪豊胸ならではのリスクです。凸凹の原因は、均一に綺麗に脂肪を除去できなかったことや、極端に脂肪を取りすぎてしまった結果、皮膚と皮下組織が強固に癒着したことが原因です。このようなミスは術者の技術不足によるものなので、患者様として気をつけることは、とにかく専門性の高い医師に依頼することです。
デメリットや失敗はある程度避けられる
脂肪の定着に適さない条件を克服することで、デメリットや失敗のリスクを緩和することは可能です。どのような解決法があるか、具体的にご紹介します。
デメリットや失敗を避ける方法 | 解決策 | |
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脂肪の質 |
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バスト内の環境 |
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脂肪の注入方法 |
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脂肪の質を良くするには?
脂肪の質を上げる際のポイントは。薬品などの混ぜ物をせず、不純物だけを除去することです。既存の豊胸術の中では、コンデンスリッチ豊胸が最も適していると私たちは考えています。コンデンスリッチとは、特殊な遠心分離法で脂肪に含まれる不純物(血液、麻酔液、老化細胞)だけを分離・除去し、幹細胞を濃縮させる技術です。実際、脂肪に幹細胞を加えたことで、定着量が5倍に達したという報告もあります[1]。
スペースを確保するには?
注入した脂肪が生き残るためには、各細胞に十分な酸素と栄養が行き渡る必要があり、そのためには十分なスペースが必要です。注入脂肪が一定のキャパを超えると、定着率は急激に落ちます[2]。
このスペースは人によってまちまちなのですが、スペースがあまりないという方は乳房拡張機器を用いて大きくすることも可能です。当院では、ビブラという韓国製の機器を使用しています。陰圧でバストの皮膚を伸ばして、脂肪が入る余地を広げる方法です。
脂肪はかたまりで注入しないためには?
脂肪はかたまりで注入しないことが基本です。この考え方のベースには、2006年、米国のSydney Coleman 先生が提唱した「コールマンテクニック」があります[3]。
さらに過去の研究から、直径2.4mmを上回る大きさで注入した脂肪は、定着しにくくなるということがわかっています[4][5]。
専門の施設に相談する
脂肪豊胸のリスクやデメリットを回避する方法は存在しますが、それを実際に行うには専門的な知識と経験が必要です。もし脂肪豊胸をご希望ならば、ぜひ脂肪注入豊胸を専門に行なっている施設にご相談ください。
不利な条件を克服した症例
最後に、脂肪豊胸に適さない方でも、やり方次第では効果が期待できるということをお示ししたいと思います。
こちらの方は、BMI 17の痩せ型の方でした。採取できる脂肪は決して多くなく、注入できるスペースも広くありません。
この方に乳房拡張器(ビブラ)を併用した脂肪注入豊胸(コンデンスリッチ豊胸)を行なった結果がこちらです。
術前に比べ、術後は『乳房下縁』のラインが側方にまでしっかり延長したことがお分かりになるかと思います。
また、『デコルテ』の部分の肋骨の影感がなくなり、『胸の谷間』がくっきりと出ていることがお分かりになるかと思います。
このようにデコルテの部分をナチュラルに美しくすることも脂肪豊胸のメリットの一つです。
施術名 | コンデンスビブラ豊胸 |
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施術 概要 |
乳房拡張機器「BEbra(ビブラ)」を、コンデンスリッチ豊胸の施術前に使用し、脂肪が定着しやすいコンディションを整える。その後、太もも、腹部などの皮下脂肪を採取し、そこから老化細胞や血液等の不純物を遠心濾過で除去。これをバストの皮下に注入する。 |
施術 費用 (モニター) |
¥1,080,000〜¥1,280,000(税込¥1,188,000〜¥1,408,000) モニター募集に関して詳しくはこちらをご覧ください。 ▷【コンデンスビブラ豊胸 モニター募集】 |
施術の 副作用・ リスク |
施術後には一定期間、痛み、浮腫み、内出血、こわばり等の症状が見られることがあります。また、この他にも予期しない症状が現れる可能性がありますので、術後異常を感じた際には速やかにご相談ください。 |
脂肪注入豊胸を受けるべきか迷っている方へ
脂肪注入豊胸にはデメリットや失敗のリスクもありますが、これらはやり方次第で解決することも可能です。
もし、メリットとデメリットを天秤にかけて迷っていらっしゃるなら、ぜひ一度ご相談にお越しください。脂肪豊胸を専門とする医師として責任を持ってアドバイスさせていただきます。
出典
- 1.Enrichment of autologous fat grafts with ex-vivo expanded adipose tissue-derived stem cellsfor graft survival: a randomised placebo-controlled trial.(Lancet, 2013)
- 2.Degeneration, regeneration, and cicatrization after fat grafting: dynamic total tissue remodeling during the first 3 months.(PRS, 2014)
- 3.Structural fat grafting: more than a permanent filler.(PRS, 2006)
- 4.Degeneration, regeneration, and cicatrization after fat grafting: dynamic total tissue remodeling during the first 3 months.(PRS, 2014)
- 5.How does fat survive and remodel after grafting?(Clin Plast Surg, 2015)
監修医師
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- THE CLINIC 広島院 院長木村 圭吾
25年間、心臓血管外科をはじめとする幅広い領域で経験を重ねてきた外科専門医。携わってきた手術件数は1万件を超え、がんの摘出、腎臓や肝臓の移植、外傷、内視鏡、救急など多岐にわたる。ゲストのご希望に技術力と安全性の高い施術で応えることをモットーに、診療にあたっている。
資格
- 日本外科学会専門医
- 日本呼吸器学会専門医
- 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
所属学会
- 日本外科学会
- 日本呼吸器外科学会
- 日本呼吸器学会
- 日本消化器外科学会
- 日本胸部外科学会
- 日本癌学会
- 日本内視鏡外科学会
- 日本臨床外科学会