10年ぐらい前にシリコンバッグで豊胸したのですが、最近硬さが目立ってきました。
放置はまずいでしょうか。何か対処すべきですか?

豊胸シリコンの寿命はおよそ10年前後です。違和感や不具合を感じたら、速やかに除去をお勧めします。

シリコンバッグの寿命

FDA(米国食品医薬品局)のサイトには「乳房インプラントは生涯のデバイスではない」と明記されている。
FDA(米国食品医薬品局)のサイトには「乳房インプラントは生涯のデバイスではない」と明記されている。

米国食品医薬品局「FDA」(日本でいう厚生労働相にあたる機関)によると、「豊胸インプラントの寿命は平均10年。11年以内には、少なくとも片方が破損する」とのことです[1]。実際に私も、豊胸手術から10年前後を経過した時点で何らかのトラブルが生じ、シリコンバッグを除去したという方を何人も目にしています。

シリコンバッグの除去を検討すべきタイミング

シリコンバッグの状態は時間をかけて少しずつ変化するので、除去のタイミングは気づきにくいものです。以下で目安をご紹介します。

1.硬さを感じるようになってきたとき

バッグ周辺に付着した繊維組織が厚みを増し、硬化した状態。バッグが強く締め付けられるため、劣化が加速する。
バッグ周辺に付着した繊維組織が厚みを増し、硬化した状態。バッグが強く締め付けられるため、劣化が加速する。

最近の豊胸用シリコンは丈夫で柔らかい触感のものが増えていますが、体内に入れて一定期間が経過すると、徐々に固くなってきます。これはバッグの性能に関係なく等しく見られることだと考えます。硬くなってしまうのは、バッグの側の問題ではなく、身体の側の反応が影響しているからです。
硬くなる原因は、シリコンバッグの周りに形成される被膜です。挿入されたシリコンバッグは体内では異物とみなされ、この異物が他に悪影響を与えないように、その周囲を膜(被膜)で覆って閉じ込めようとします。硬くなるのは、時間経過とともに被膜が厚くなって徐々にバッグを締め付けるようになるからで、その結果、バッグがダメージを受けて破損しやすくなります。

シリコンバッグの破損によって変形をきたしたバスト
シリコンバッグの破損によって変形をきたしたバスト

万一、シリコンバッグがバストの中で破損してしまうと、炎症や感染症を引き起こしかねません。
また、硬いバストというのは自分にとっても他人から見ても違和感しかありませんし、そのような状態が続くのは、心理的にもかなりストレスだと考えられます。
こうしたことから、硬さを感じるようになったら、今入っているものは除去し、新しいバッグを挿入し直すか、脂肪など別の方法で改めて豊胸するかのいずれかの対処をされることをお勧めします。

2.左右差が目立つとき

もともとバストに多くの脂肪がある方の場合、豊胸バッグが硬くなってきていることに気づきにくいことがあります。これに気づかず放置した結果、バッグが破損して中身が漏れ出てくると、当然どちらか一方の胸だけしぼんでしまいます。つまり、あるとき急に左右差が顕著になります。
こうなったら、速やかに医療機関を受診し、まずエコー検査で破損の有無を確認。もし破損が確認されたらバッグを取り出し、感染症などの二次被害を未然に防いでください。

シリコンバッグが劣化しやすい人の特徴

バッグの劣化速度は人によって異なります。次にあげる特徴に当てはまる方は、通常よりも早く劣化する可能性がありますのでご注意ください。

痩せている

痩せた方の場合、バッグを挿入するするスペースを無理やり作ることになるので、挿入後のバッグにかかる圧は高くなりがちです。バッグに高い圧がかかると、それだけ劣化も早まります。

アレルギー体質など、異物反応を起こしやすい

バッグを異物として排除しようとする働きが強く出るので、周辺に作られる被膜が厚くなります。つまりカプセル拘縮が進みやすいということです。 またレアケースではありますが、格闘技選手など、胸に衝撃を受けやすい状況にある方もバッグが痛みやすくなります。

豊胸シリコンの除去症例

気になるのは「除去したらどうなるか? 」だと思います。
以下で、当院で豊胸シリコンの除去を行った1例をご紹介します。除去と同時に脂肪豊胸も行っていますので、脂肪へのリプレイスでどの程度の大きさが維持できるかも含めて、ご確認いただければと思います。

術前

シリコンの挿入から15年経過した方です。バストの硬さと変形が気になるとのお悩みで来院されました。
シリコンバッグが挿入されていますので、バストのサイズは大きいのですが、乳房下縁が本来の自然な位置より下方に移動しています。
また、シリコンバッグが下方に移動したため、乳頭の位置が不自然に上を向いているように見えます。

シリコンバッグの挿入から15年経過した方の画像

シリコンバッグの挿入から15年経過した方のエコー画像

この方のお胸のエコー画像がこちらです。
黄色で示した領域が乳腺、青色の領域がシリコンバッグです。シリコンバッグは乳腺下に挿入されていることが分かります。
シリコンバッグの周囲には被膜が形成されていて、その被膜によりバッグが圧迫されています。青く示したバッグの表面が凸凹となり、波打って見えるのがお分かりいただけると思います。この圧迫のせいで、胸が硬く感じられるわけです。

術後

左が術前、右が施術後の写真です。
シリコンバッグを除去した後、脂肪注入豊胸を行っています。サイズはシリコンバッグが入っていた頃ほどではありませんが、形や乳頭の位置、質感は間違いなく自然になりました。

シリコンバッグ除去の術前/術後画像

施術名 シリコンバッグ抜去+コンデンスリッチ豊胸
施術
概要
乳腺用エコーを用いて、バスト内の状態を確認。その後、腋下か乳房下を切開してバッグを除去する。同時に、太もも、腹部などの皮下脂肪を採取し、そこから老化細胞や血液等の不純物を特許技術の遠心濾過で除去。これをバッグ除去後のバストのスペースに注入する。
施術
費用
(モニター)
¥1,080,000(税込¥1,188,000)
モニター募集に関して詳しくはこちらをご覧ください。
▷【バッグ摘出再生豊胸モニター募集】
施術の
副作用・
リスク
施術後には一定期間、痛み、浮腫み、内出血、こわばり等の症状が見られることがあります。また、この他にも予期しない症状が現れる可能性がありますので、術後異常を感じた際には速やかにご相談ください。

豊胸手術に何を求めるかで方法は異なるかと思いますが、自然さを重視されるのであれば脂肪豊胸がベストだと考えます。
シリコン豊胸後の不自然なバストにお悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。

監修医師

木村 圭吾
THE CLINIC 広島院 院長木村 圭吾

25年間、心臓血管外科をはじめとする幅広い領域で経験を重ねてきた外科専門医。携わってきた手術件数は1万件を超え、がんの摘出、腎臓や肝臓の移植、外傷、内視鏡、救急など多岐にわたる。ゲストのご希望に技術力と安全性の高い施術で応えることをモットーに、診療にあたっている。

資格

  • 日本外科学会専門医
  • 日本呼吸器学会専門医
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医

所属学会

  • 日本外科学会
  • 日本呼吸器外科学会
  • 日本呼吸器学会
  • 日本消化器外科学会
  • 日本胸部外科学会
  • 日本癌学会
  • 日本内視鏡外科学会
  • 日本臨床外科学会